次世代非球面光学素子の新加工法

 光デジタル機器や光情報通信機器、内視鏡などの高度医療機器のキーパーツである非球面レンズやミラーには、さらなる高精度、高精細、高信頼性が強く求められている。本研究の目的は、現在、国内の非球面レンズの主流を占めている樹脂製非球面レンズをガラスに置き換えるとともに、未だ解決されていない加工形状誤差の揺らぎ発生を抑制することにより、現状の非球面ガラスレンズの形状精度を飛躍的に高める手法と加工システムを開発することである。これまで本研究室で開発してきた、形状精度を向上させることのできる円弧包絡研削法、仕上面粗さを向上させることのできるパラレル研削法、研削鏡面のナノトポグラフィー創成機構シミュレーションなどのシーズを基盤として、世界で初めて超安定・超精密非球面研削加工システムの開発を行った。このシステムを用いることにより、ガラス製非球面レンズ並びにガラスプレス用超硬金型の加工精度が飛躍的に向上するとともに(形状誤差±25nm、表面粗さ18nmRy)、その加工表面に形状誤差パターンがない均一な非球面が研磨レスで得られるようになった。

 またこれらの研究と同時に、良好な鏡面研削実現のための基盤技術の開発、例えば、超精密ツルーイング・ドレッシングに関する基礎的研究や、新しい鏡面研削用砥石の開発研究も行っている。(極微粒ダイヤモンド砥石専用のツルアの開発、超高集中度マイクロ砥石の開発、マイクロ砥石のための高集中度レーザコンディショニング技術の開発、極微粒ハイブリッドボンド砥石と電解コンディショニング技術の開発、等々)

 これらの技術は、経済産業省のコンソーシアムプロジェクトのもと民間企業に移転され、次世代内視鏡用非球面ガラスレンズや高精細デジタルカメラ用高性能非球面ガラスレンズの製品化、事業化に大きく貢献している。


  • 開発した加工システム(Nano Processor)

  • 新しい非球面研削法の開発

    ナノトポグラフィーシミュレーション
    左端、中央:従来加工ではスパイラル状、輪帯状のうねりが残留 右端:最適研削条件での超安定研削表面
  • 従来加工レンズ
  • 新加工レンズ
  • 超硬製非球面金型